3-4 免許要件の審査等
事務所について
免許制度について、事務所は重要な意味をもっています。事務所の所在が免許権者を定める要素となっており、また事務所には専任の取引士の設置が義務付けられている。
さらに、事務所の数に応じて営業保証金を供託しなければならないこと等が、その主要なものです。
このように事務所は重要な意味を持っているので、業法第3条第1項において事務所とは「本店、支店その他政令で定めるもの」と規定し、その明確化を図っている。
政令では、次の2つを業法上の事務所として定めている。

①本店又は支店
本店または支店として履歴事項全部証明書に登記されたもの
(留意点)本店で宅建業を行わなくても支店で宅建業を営むと、本店も宅建業の「事務所」となり、この場合本店にも営業保証金の供託及び専任の取引士の設置が必要となります。なぜなら本店は支店で行う宅建業について、何らかの中枢機能的な統括機能をはたしているからです。逆に支店があっても、支店で宅建業を行わない場合には、「事務所」としては取り扱いません。
②①の本店または支店のほか、「継続的に業務を行うことができる施設を有する場所」で宅建業に係る契約を締結する権限を有する使用人を置くもの
このような場所は、実体上は支店に類似するものと言えるので、支店としての名称を付していなくても、従たる事務所として取り扱われる。ただし、テント張りの案内所などは事務所としては認められない。
【事務所の形態について】
一般的な解釈としては、物理的にも宅建業の業務を継続的に行える機能を持ち、社会通念上も事務所として認識される程度の形態を備えていることが必要です。また事務所として使用する権限を有していることが必要です。
このため一般の戸建て住宅、マンション等の集合住宅の一室を事務所として使用する事、1つの事務所を他の法人等と使用する事、仮設の構築物を事務所とすることは原則として認められない。
住宅の一部を事務所とする場合の要件
㋐住宅の出入り口以外の事務所専用の出入り口がある。事務所専用の出入り口が無い場合は、玄関から事務所に他の部屋を通らずに行ける。
㋑他の部屋とは壁で間仕切りされている
㋒内部が事務所としての形態を整えており、事務所の用途だけに使用している。
申請の際には、入り口から事務所までの経路がわかる写真と、事務所である旨の表示のある写真を何枚か添付する必要があり、事務所の位置を確認するための住宅全体の「間取り図」の添付が必要。
一つの事務所を他の法人等と使用している場合 ★事前に連絡の上、相談が必要!!
㋐A社、B社ともに出入り口が別にあり、他社の専用部分を通ることなく出入りができる。
㋑A社、B社間は、高さ180センチ以上のパーテーションなど固定式の間仕切りがあり、相互に成立している
入り口から事務所までの経路がわかる写真ならびに出入り口が別であること及び間仕切りがされていることがが確認できる写真の提出が必要、事務所の位置が確認できるフロアー全体がわかる平面図を添付する。
専任の取引士について
宅地建物取引士とは
宅地建物取引士は、宅地建物取引士資格試験に合格後、取引士資格登録をし、取引士証の交付を受けている方をいいます(取引士証の有効期間は5年間。有効期限が切れている場合は取引士として認められない)
取引士には事務所ごとに専任の状態で設置しなければならない専任の取引士と、それいがいの一般の取引士とがある。どちらも重要事項説明等取引士としての業務内容は同じだが、専任の取引士は業務に従事する状態が事務所ごとに「専任」でなければならない。
専任の取引士の「専任性」とは
①当該事務所に常勤して、
②専ら宅建業の業務に従事する
という「常勤性」と「専従性」の二つの要件を満たす必要がある。
専任にあたらない例としては、
①他の法人の代表取締役、代表者などを兼任したり、会社員、公務員のように他の職業に従事している場合
②他の個人業を営んでいたり、社会通念上における営業時間に、宅建業者の事務所に勤務することが出来ない状態にある場合
③通常の通勤が不可能な場所に住んでいる場合
などがある。
専任の取引士の設置
宅建業法は、免許制度に加えて、宅建業者に宅地建物の取引に関する専門家としての役割を十分に果たさせるため、その事務所等に5名に1名以上の割合で成年者である専任の取引士を設置することを義務付けている。専任の取引士の数が不足した場合は、2週間以内に補充等の措置をとらなければならない。