
不動産業を個人でやる場合のメリット
①初期費用が少なくて済む
②時間が自由に使える
③人を管理する手間が少なくて済む
④社会保険に加入しなくていい
⑤変化に柔軟に対応することが出来る
①初期費用が少なくて済む
法人を設立してから不動産業を行うとなると、やれることをすべて自分でやったとしても、法人登記費用(実費)がかかります。その金額は株式会社の場合には23万円、合同会社の場合には7万円かかりますが、個人で開業する場合にはこの費用が全くかかりませんので、その分の費用はかかりません。
②時間が自由に使える
個人でやる場合には、他にスタッフを雇わなければ自分の好きなように時間を使ってもだれにも文句を言われることがありません。出勤時間も退勤時間も決められていないので、まさに自分の自由に時間が使えるという事になります。
③人を管理する手間が少なくて済む
人を雇わなければ、人を管理する必要はありません。そのためのデスクやパソコンを用意する必要もありませんので、人間関係に悩んだり、固定費であるお給料を負担する必要もありません。
④社会保険に加入しなくていい
法人であれば加入が義務付けられていますが、個人の場合には社会保険に加入する義務はありません。そのかわりに、毎月国民年金の支払と所得に応じた国民健康保険を支払う必要があります。
⑤変化に柔軟に対応することが出来る
一人で仕事をするため、色々な変化に柔軟に対応することができます。
急な変更などにも対応できるので、その点ではお客様の信頼が高まる可能性はあります。
不動産業を個人でやる場合のデメリット
①信用が低い
個人で仕事をすると社会的信用度は高くありません。そのために仕事を請け負うことが出来なかったり、銀行からの融資を受けにくくなる可能性は高いです
②節税対策が少ない
法人の場合には経費に出来る範囲が広いので、その分節税対策を出来るといっても過言ではありません。しかし、個人で事業をやるときには経費に出来る範囲も限定されているため、税金面では負担が多くなることが多いです。
④全部自分でやる必要がある
個人事業主で従業員を雇わない場合には、全ての業務を一人で行う必要があります。簡単な事務作業や雑用など、従業員を雇えば頼めることも一人でやらなければならないと考えるとデメリットになります。
不動産業を法人でやる場合のメリット
①所得税の節税ができる
会社から役員報酬としてお給料をもらうので、給与所得控除を使うことができ、さらにお給料の額も自分である程度自由に決めることが出来るので、業績によって納税が多くなる心配もありません。
②経費化の選択肢が大きくなる
個人事業主の所でも書きましたが、法人の方が経費になる範囲が広いです。自宅兼事務所であれば、家庭で使うものも経費になる可能性が高いのではないかと考える人が多いのですが、事業用兼家事用で使っているもののうち、経費に出来るものは限られていますし、不動産業の場合には特に、自宅で事務所を開くことは難しいので、より経費の範囲が広い法人で事業をした方が有利になる可能性が高いです。
③社会的信用度が上がる
個人名で事業をするよりも、法人名で事業をする方が社会的信用度は圧倒的に高いです。なぜなら、法人にするにはある程度の覚悟をもってはじめていると考えらます。設立にも時間がかかり、登記の義務もあるからです。法人番号制度により、その法人の本店がどこにあって、どんな事業をやっているのかはすぐに調べることができます。そのため個人でやるよりも法人で事業をした方が社会的信用度は高いと言えます。
④相続税の節税になる
事業で扱う土地建物については法人の持ち物であるため、死亡という概念がない法人であれば、これらの土地建物について相続ということが起こりえません。したがって、法人で持っている土地建物について相続税は発生しません。この点から相続税の節税になるということができます。
不動産業を法人でやる場合のデメリット
①設立費用がかかる
合同会社の場合には15万円、株式会社の場合には23万円の設立登記費用が発生します。登記には少なくとも2週間ほどの時間もかかります。事業を始めようと思っても設立届1枚だけ出せばいい個人事業者とは違い、時間と費用がかかる点はデメリットといえます。
②毎年、赤字でもかかる均等割を納める必要がある
法人は事業年度ごとに決算をして、その事業年度の所得がいくらかによって法人税等を納めることになります。個人事業主であれば、所得がゼロであれば所得税、住民税を納める必要はありませんが、法人の場合には、所得がゼロであってもその事務所の本店所在地の市と県(または都)に最低でも7万円の住民税を納める必要があります。
③税務調査の確率が高くなる
個人事業主の税務調査の割合は1%ですが、法人の場合には3.2%で、個人事業主の数よりも法人の数の方が圧倒的に少ないので、法人の税務調査の割合は高くなるという事が出来ます。これらの率から算出すると個人事業主の場合には100年に1回、法人の場合には30年に1回程度の調査の確立にはなりますが、実際的には法人での調査の割合は長いところでも10年に1回になっています。
④社会保険の加入が義務となり、支払いの負担が増える
個人の場合には加入義務はありませんが、法人を設立すると必ず社会保険事務所から社会保険に加入するように案内が来ます。お給料をゼロにした場合には社会保険に入る必要はありませんが、それ以外の場合には加入が義務付けられています。社会保険は毎月必ず発生する費用になるという点ではデメリットという事が言えます。