無事開業し、順調に売上も伸びていくと、次に気になるのは所得税(法人の場合は法人税)を始めとした税金の額でしょう。

飲食店経営にかかる税金は、上記の通り事業者が個人か法人かによって種類が変わります。

個人経営の場合、所得税、個人住民税、個人事業税が、法人では法人税や法人事業税が発生します。

個人・法人どちらでも場合により発生するのが、消費税や固定資産税です。

また、直接事業主が負担するものではありませんが、事業主に納税義務があるものとして源泉所得税があります。

個人経営では、主に次の4つの税が発生します。

    所得税:所得額に応じて課税される国税

    個人住民税:住民票のある自治体に支払う地方税

    個人事業税:事業所得の額に応じて支払う地方税

    復興特別所得税:所得税に2.1%上乗せされる国税

所得税は、1年間で得た所得すべてにかかる税金です。

飲食店経営で得たお金だけでなく、投資や別事業で得た収入、

雑収入の合計から経費や各種控除を差し引いた所得に対して課税されます。

所得税は、所得額が大きくなるほど税率が高くなる累進課税で、税率は最大45%です。

個人住民税は、お住まいの市町村に納税するものです。個人住民税には均等割と所得割の2つの税率があり、前年の所得額によって本年に支払う住民税額が決定します。

個人事業税は、個人事業主の事業所得に対して課税される地方税です。

飲食店経営で得た収入から必要経費や専従者給与、290万円の事業主控除を差し引いた所得額に、事業の種類に応じた税率が課せられます。

個人事業税は都道府県に対して支払うものです。

復興特別所得税は、東日本大震災からの復興に必要な財源として創設された税金で、すべての納税者が納める国税です。復興特別所得税の税率は2.1%、「所得額×2.1%」で算出できます。

飲食店を法人として経営している場合、主に次のような税が発生します。

    法人税:法人が得た所得に対して課税される国税

    地方法人税: 法人が得た所得に対して課税される税金

    法人住民税:市町村・都道府県それぞれに納める地方税

    法人事業税:所得に対して課税される地方税

法人税は、法人が得た所得に対して課税される国税です。資本金が1億円以下の中小法人の税率は、所得額のうち800万円以下の部分に15%、800万円を超える部分に23.4%となっています。

地方法人税は、2014年に創設された税制度です。国に納税したあと、国から地方に分配される税金で、法人税額の4.4%を地方法人税として納付します。

法人住民税は、市町村と都道府県それぞれに納める税で、「法人税割+均等割」で算出されます。法人にかかる税は通常赤字決算の場合発生しませんが、法人住民税の均等割については赤字でも課税される点に注意が必要です。

均等割の金額は法人の規模や地域により異なりますが、赤字でも県と市の合計で最低7万円の納付となると覚えておくと良いでしょう。

法人事業税は、所得に対してかかる国税で、原則として事業を行うすべての法人に課せられます。法人事業税は「所得×法人事業税率」で算出され、税率は課税所得の400万円以下の部分に対して3.4%、400万円を超800万円以下の部分に5.1%、800万円を超える部分は6.7%となっています。

また、代表者個人は役員報酬として会社から給与を受ける扱いとなるため、

税務上は一般の給与所得者と同じように給与に対する所得税や住民税が発生します。

飲食店の事業を営むものが個人でも法人でもかかる税金には次のものがあります。

    消費税:売上で発生した消費税を納付する

    印紙税:領収書等に貼付する印紙代

    固定資産税:不動産等資産にかかる地方税

  源泉所得税:給与や報酬から天引きする所得税

消費税は、2年前の売上が1,000万円を超える場合に発生します。ただし、納める消費税は受け取った消費税から、仕入れ等で支払った消費税を差し引いた額です。

法人・個人ともに開業時点では「2年前の売上」がないため消費税の納税義務はありません。

ただし、設立時の資本金が1,000万円以上の法人等、一定条件で開業後すぐに納税義務が発生する場合があるので注意が必要です。

印紙税は領収書に貼付するもので、飲食店の領収書では5万円以上の代金を受け取った際に印紙貼付のための印紙税が発生します。

その他銀行から融資を受ける際等、契約書に貼る必要がある場合があります。

固定資産税は、所有する固定資産にかかる税です。個人事業主なら、事業に使用していない自宅や店舗の土地・物件、設備等に対して発生します。法人では、会社が所有する資産に対して税が課せられます。固定資産税は市町村に対して支払うもので、税率は1.4%が基本ですが、地域によって異なる場合があります。

源泉徴収税は、従業員および会社代表の給与や賞与、退職金から天引きし、事業主納付する税金です。給与等を支払った翌月の10日までに毎月納付します。従業員が10人以下の店舗については、半年ごとの納付も可能です。特別徴収住民税は、従業員や会社代表の給与から毎月差し引き、市町村に納める住民税です。

飲食店経営では、さまざまな税の支払が発生します。個人・法人問わず、年間を通して支払う税金は、想像している以上に高額で、計算も複雑になりがちです。

特に消費税は、軽減税率と通常の税率の2種類があることから、日々売り上げの記帳じから注意して細かな対応をしていないと、いざ申告を行う際に困ったことになりかねません。軽減税率に対応するPOSレジを導入するなど、消費税の計算にかかる負担を軽減する方法を試してみてはいかがでしょうか

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