前のページで法人成りに触れましたが、一口に法人と言っても組織形態にはいくつか種類があることをご存知でしょうか?
ここでは、事業会社を設立するにあたって最も一般的な、「株式会社」と「合同会社」をご紹介します。

〇株式会社
株式会社は、株式を発行して資金を集めて作られる「会社」の代表的な形態です。
会社経営の源泉となる「資本」の所有者と、会社の経営を行う人が分離しており、このとき資本金を提供した人が「株主」となります。また、経営を行う経営者は株主による集会である「株主総会」での選出により決まります。
このように株主と経営者が違うのが株式会社の特徴で、「所有と経営の分離」といいます。
とはいえ、中小企業の場合、株主=経営者(社長)であることも多く、株式会社だからといって必ずしも所有と経営が分離しているわけではありません。
家族経営の場合等、創業者一家で株を分け合っている場合もあります。
法人成りの際、株式会社を選択する際の代表的なメリットを紹介します。
・社会的信用度が高い
株式会社は社会的にも認知度が高く、また、合同会社と比べて守らなければならない法律の規制が多いため社会的な信用が高いです。
人材採用の募集や金融機関からの融資など、さまざまな面で合同会社や個人事業主より有利です。
・株主の責任はあくまで間接有限責任
有限責任とは、会社が倒産したときなどに、会社の債権者に対して出資額を限度として、責任を負うということを指します。
株式会社の株主は、債権者に直接責任を負うわけではなく、出資した会社に出資額だけの責任を負うことになります。この責任を「間接責任」といいます。
一方、合同会社を設立する場合と比較して、株式会社設立のデメリットを解説します。
・設立費用が高い
一般的に株式会社を設立するために役所に支払う必要のある「法定費用」は25万円ほどかかるのに対し、合同会社は数万円程と、初期費用に大きな差があります。
〇合同会社
合同会社とは、2006年5月1日施行の会社法により新しく設けられた会社形態で、経営者と出資者が同一であり、出資者全員が有限責任社員であるという2つの特徴があります。
ここでは合同会社を設立する際のメリットの代表例を紹介します。
・設立費用が安い
上述のとおり、株式会社を設立する場合は最低でも25万円前後の費用がかかります。合同会社を設立する場合は定款の認証が必要ありません。
また、紙定款ではなく電子定款にすることで収入印紙代も不要になるので、最低6万円から設立が可能となります。
合同会社を設立するデメリットにも触れておきます。
・株式会社に比べて認知度が低い
一般の消費者(B to C)の場合、相手が株式会社か合同会社であるかは気にしない人が多いでしょう。しかし、対会社(B to B)の場合は少し厳しめにみられることがあるかもしれません。
先のページでも触れたとおり飲食店の場合一般の消費者が相手のことが多いため、このデメリットはあまり気にならないかもしれません。
合同会社は比較的新しい会社の形であるため、信用度を低く見られてしまうこともあります。例えば、人材を募集した際に合同会社では人材が集まりにくいというリスクも想定されます。
年々、合同会社の数は増えているので認知度も上がっていくと考えられますが、現時点での認知度は低めであると認識しておきましょう。
・上場できない
株式会社は上場して更なる事業拡大を目指すことが出来ますが、合同会社の場合は上場できません。もし将来は上場を考えているのであれば株式会社を選んでおくことをおすすめします。