「売上」から「原価」を引くと「粗利益」が、

「粗利益」から「販売管理費」を引くと「営業利益」が算出できるとご説明しましたが、

原価と販売管理費はさらに「変動費」と「固定費」に分類できます。

①変動費

お店の売り上げの変動に依存する費用です。

原材料費・アルバイトの人件費・水道光熱費・販売促進費(チラシ代など)が変動費にあたります。

売り上げの多い・少ない(店舗の人や設備の稼働率が高い・低い)に合わせて変動する費用なので、こまめな監視が必要です。

②固定費

お店の売り上げに関わらず発生してしまう、額が変動しない経費です。

店舗物件の地代家賃、減価償却費などが固定費にあたります。

どんなにお客さんが少なくとも、場合によっては休業していても店舗が存続している限り限り発生してしまう費用です。

この「変動費」と「固定費」の分類ができると、「損益分岐点」の算出が可能となります。

おそらく全ての経営者が気になるであろう「実際にいくら売上を出せば黒字経営にできるのか?」という疑問に対し、おおよその予測が可能です。

・「損益分岐点」

損益分岐点とは、売上と経費がちょうど等しくなるような売上高のことで、損益分岐点を計算する事で、「使った分を回収するにはいくら売ればいいか?」がわかります。つまり、「下回ると赤字になるぎりぎりのラインの売上額」がわかるのです。

損益分岐点は以下の計算式で求められます。

損益分岐点=固定費÷(1-変動費÷売上高)

仮に、売上高が200万円、固定費が90万円(家賃20万円+人件費40万円+その他経費30万円)で、変動費が80万円(食材費50万円+人件費(アルバイト)30万円)という店舗があった場合、以下の計算式のようになり、この店舗は150万円売上げなければ赤字になることがわかります。

90万円÷(1‐80万円÷200万円)=150万円

ちなみに、計算式を見てもわかるとおり、損益分岐点を下げるには「固定費」を下げることが効果的です。

仮に、先ほどの店舗の固定費が85万円だった場合、損益分岐点は約141万円まで下がります。

飲食店にとって立地は大事ですが、あまりに高額な家賃は経営を大きく圧迫することがわかります。

昨今のコロナ禍において、駅前一等地に店舗を構えた事業者が、売上の減少により固定費(店舗家賃)を賄えなくなり、苦境に陥っていることからも、固定費の経営に対する存在感が実感できるかと思います。

逆に、昔ながらの商店街にあるような店舗と経営者の自宅が一体化した店舗形態の場合、

家賃の支払いがないため損益分岐点は大きく下がり、売上の減少により事業そのものが立ち行かなくなる可能性は低いと言えます。

ただ、家賃の高低は立地条件や店舗のイメージ戦略にも影響するため、

一概に高い固定費が悪というわけではありません。

ただ、損益分岐点が下げる努力をすれば、少々売り上げが減少する場面があっても、倒産に追い込まれる可能性が低くなります。