飲食業界は、5年で約2割が廃業に追い込まれる厳しい業界です。

それだけ継続して「利益」を得続けることが難しい業界であるとも言えます。

開業を目指す方も、すでに飲食店を経営しているオーナーも、一番の不安は「潰れずにやっていけるか」という点だと思います。

利益を出し続けるにはそもそも利益とはどのような計算で算出されるものか、

その仕組みを把握することも大切です。

多くの新規開業者にとって、経営や経理は未経験の分野かと思います。

なので、ここでは、まずは飲食店経営者として知っておくべき「利益」の考え方を「粗利益」「営業利益」の2点に絞ってご説明します。

まず、飲食店の利益率の計算方法についてご説明します。

・粗利益=「売上から原価を引いたもの」です。

例えば1皿1,000円のパスタを提供しており、原価(原材料費)が400円だった場合、粗利額は600円になります。

粗利額は、「1皿売ったら、いくら儲かるか?」がわかる指標であるとも言えるでしょう。

また、粗利率は、粗利額が売上の何パーセントにあたるかを計算しますので、1,000円÷600円=60%となります。

粗利率60%のメニューは、「1皿売ったら、6割が儲けになる」メニューと言い換えることができます。

また、飲食店を経営するうえで重要と言われる指標に「原価率」がありますが、これは「売上に占める原価の割合」なので、「原価(原材料費)÷売上」で求めることができます。

粗利額とは反対の考え方で、「1皿売るのに、いくらかかるか?」がわかる指標です。

先ほどの原価400円、販売価格1,000円のパスタの例では、1,000円÷400円=40%が原価率になります。

・営業利益

さて、1皿1皿販売実績を積み重ねていくと粗利額が累積していきます。

先ほどのパスタの例では1皿600円も儲かっていましたので、1日50食出れば3万円の儲けとなります。

これが1か月30日間続けば90万円の儲けです。

もちろんこれがすべて最終的な利益になるわけではなく、ここから原価以外の経費、

いわゆる販売管理費を引いていきます。

ざっと例示するだけでも、店舗の家賃、水道光熱費、従業員の給料、店舗内の消耗品類、

食器やテーブル等の新調や買い替え等、店舗運営に関するあらゆる経費がこの販売管理費に含まれます。

これらの「販売管理費」を「粗利益」から差し引いたのが「営業利益」です。

この営業利益からさらに営業外収益、営業外費用、特別収益、特別費用を足し引きし、

最終的な「税引前利益」そして「当期純利益」を計算することになりますが、

営業外収益等は通常突発的または少額なものが多くなります。

(目新しい例を挙げると昨今のコロナ禍による給付金等の収益がこれにあたります)

そのため、いわゆる「本業の儲け」はこの営業利益であり、営業利益を増やすことで「本業でしっかり儲かっている」と見ることができると言えるでしょう。