保健所でキッチンカーの営業許可を取得する方法について説明させていただきます。

キッチンカーの営業許可の申請先は、移動販売を行う「管轄」の保健所です。

各自治体ごとに保健所の許可を取る必要があります。

保健所は各自治体毎に設置されています。

都道府県に一つずつではなく、自治体に一つずつというのがポイントです。

普通の固定店舗を出す場合は、

最寄りの保健所に飲食店営業許可の申請を出すことになります。

キッチンカー(移動販売)も同様に、営業する地域の「管轄」の保健所に申請します。

ただ、日本全国でキッチンカー(移動販売)ができるように、

日本の全ての地域の保健所の営業許可を取得するのは現実的ではありません。

理由を箇条書きにします。

・全国にある数十カ所の保健所の全てに出向く必要がある

・保健所の許可基準は地域に違いがあるので、地域ごとに改造施す必要がある

・一カ所の許可申請で1万円以上かかるので、日本全国の営業許可をとるとすると数十万円かかる

例えば、キッチンカーで営業をしながら、

日本全国を旅したいと言えば夢のある話ですが、

現実的には難しいことになります。

ですから、事前にどの地域でキッチンカー(移動販売)の運営をするか決めてから、

キッチンカー(移動販売)の開業を検討したり、

キッチンカー(移動販売車)の製作をスタートする必要があります。

例えば、東京、埼玉、神奈川、千葉の全てで開業許可をとるとしたら、

東京都全域での営業を可能にするには、東京都・八王子市・町田市の3か所から飲食店営業許可を受ける必要があります。

埼玉県全域で営業を可能にするには、さいたま市、川越市、その他埼玉県の3か所を取得する必要があります。

神奈川県全域での営業に至っては、川崎市・横浜市・横須賀市・相模原市・藤沢市・その他神奈川県の6か所を取得する必要があります。

千葉県全域での営業は、千葉市・船橋市・柏市・その他千葉県全域の4か所を取得する必要があります。

許可申請費用は保健所によって若干の差がありますが、

業種1件あたり14,000~18,000円ほど必要になってきます。

東京・神奈川・千葉・埼玉の関東全域で飲食店営業と菓子製造業の許可を得るには、

ざっくり400,000円以上の費用がかかります。

しかも5年毎に更新(更新費用がかかります)する必要がありますので注意が必要です。

〇営業許可の種類

自動車による営業の種類は大きく2つに分かれています。

・販売業・・・自動車に施設を設け移動して食品を販売する形態

(移動コンビニや移動スーパー等が該当します)

・調理営業・・・自動車に施設を設け、車内で調理・加工および販売する形態

(キッチンカーでランチやクレープ等を販売している車が該当します)

さらに、

販売業で4種類

    乳類販売業

    食肉販売業

    魚介類販売業

    食料品等販売業

調理営業で3種類

    喫茶店営業

    飲食店営業

    菓子製造業

の業種に営業許可が分かれています。

皆さんがキッチンカーで「何の商材を提供するか?」によって、

設備基準や営業許可の種類が変わってきますのでご注意下さい。

〇調理営業の種類

調理営業のケースについて、もう少し掘り下げてみたいと思います。

商材によって設備基準が違ってくるということを理解してください。

まずは給水・排水のタンク容量です。

東京都を例にとって掘り下げてみたいと思います。

タンク容量

    40リットル以上

    80リットル以上

    200リットル以上

で区切られてます。

うどんやそば等の大量に水を使う商材は、

200リットル以上のタンク容量を求められます。

(軽自動車に200リットルタンクを積むのは、

少し無理があるので軽自動車に積むなどテストしてみてください。)

    40リットル以上 喫茶店営業

    (多量の水は使わない・容器は使い捨て・商材は単一品目)

    80リットル以上 飲食店営業

    (多量の水は使わない・容器は使い捨て・商材は複数品目)

    200リットル以上 上記以外

といった具合です。

(上記は東京都の場合ですが、横浜だと軽自動車はタンク容量にかかわらず単一品目のみなど保健所によって基準が違います。)

また、許可の種類についても、調理パンはどっちに該当するか?

クレープにツナハム挟んだらどっちなのか?

こちらは保健所でも曖昧なポイントになります。

地域が決まっていれば事前の確認が詳細に必要なポイントになります。

これだけ食べ物が多様化している現在、完全な線引きは難しいと思います。

とはいえ、怪しい場合には両方取っておいた方が無難です。

〇仕込み場所について

「仕込み場所」は重要なです。

調理営業の場合、車内で簡単な調理や加熱・盛り付けのみが許されており、

仕込みは別の場所で行うことになっています。

仕込みが必要のない商材であっても、

給水タンクに水を補給する場所は仕込み場所でやらなければならないということです。

いざキッチンカーでビジネスを始めたいと思っても、

この「仕込み場所」がネックになる人も少なくありません。

仕込み場所は、保健所の営業許可が取得できている施設である必要があります。

開業資金を計画している方は、

この仕込み場所も予算の中に含めることを忘れないようにしてください。

仕込み場所がない方がよく取られるのが次の方法です。

【仕込み行為がないメニューを提供する】

予め仕込み済の食材(レトルトや冷凍食材、カット済み野菜、など)を使用することで仕込み行為がなくなるため、仕込み場所を必要としない提供が可能です。

給水タンクへの給水は、営業許可を必要としませんので、水道水を給水する前提でご自宅でも登録が可能となります。

【仕込み行為があるメニューを提供する】

キッチンのシェアサービスを利用する

お知り合いの飲食店の厨房を営業時間前に借りる

キッチンカー仲間同士で共同の厨房を使う、等。

〇申請書類について

申請書類についてです。

営業許可申請時には何種類かの書類を提出する必要があります。

これも保健所によって書式やフォーマットに若干の違いがありますし、

提出が必要な書類も保健所によってマチマチです。

ざっくり、このような書類が必要になります。

    営業許可申請書

    営業設備の大要・配置図

    仕込み場所の営業許可証の写し

    営業の大要

    食品衛生責任者の資格を有する証明するもの(食品衛生責任者手帳)

    車検証写し

    仕込み場所の水質検査証明書

    検便検査成績書

    申請手数料

などが該当します。

保健所で開業許可を取る時の手続きの流れを把握しましょう!

移動販売の営業許可を取るときの流れ

手続きの流れとしては、

・保健所に事前の相談(商材・出店場所・キッチンカーの設計図を元に担当者と打ち合わせ)

・申請書類に記入(記入方法がわからない場合は保健所の担当者に確認)して申請書提出

・キッチンカー入手後、施設検査の日程調整

・キッチンカーを保健所に持ち込み施設検査の実施(指摘事項を受けた場合には改善して後日再検査を実施)

・許可証の交付

となります。

いずれにしろ、事前の相談の時点で担当者とよく話し合うことが重要です。

保健所のホームページでダウンロード出来る資料もありますので、

あらかじめ入手して色々と調べてみることをお勧めします。

考えすぎて手足が止まってしまうのは良くありませんが、

この辺りは1日時間使ってゆっくり保健所と話をするのは大切な仕事だと思います。