労働保険は、従業員を雇った場合に加入が必要です。

社会保険と違い、こちらは法人でも個人事業主でも従業員を雇う場合は加入が不可欠となります。

飲食店の場合従業員を雇わずに営業を開始することはまずないため、原則加入が必要と考えておいて良いでしょう。

労働保険は「労災保険」と「雇用保険」に大別され、

労災保険は労働災害によるケガや病気の治療費と収入を補償し、雇用保険は休業(育児や介護等)や失業時の収入を補償します。

社会保険の場合パート・アルバイトの従業員は加入しない場合もあるかと思いますが、

労災保険は短時間労働者を含むすべての労働者が対象です。また雇用保険は週の労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用の継続が見込まれる労働者が対象となりますが、ここには正社員だけでなくパートやアルバイトも含まれます。

なお、労働保険も未加入に対する罰則規定があります。

また、仮に労災保険に入っていない従業員に対して労災事故が発生した場合には、労災に未加入であっても労働者は労災の給付を受けられます。

労災保険の強制適用事業所になるので、保険料が未納であっても、労働者は保護され、労災申請ができるのです。

労災保険未加入の場合であっても労災申請ができるのであれば、とりあえず未加入でよいのではないかと思われるかもしれませんが、上記の通り未加入の事業主にはペナルティがあります。

労災保険に未加入であっても労災補償はされると説明しましたが、その場合、未払いの保険料が遡って徴収されます。

ただし、最大2年間を限度とします。さらに、労働保険料額の10%の追徴金が課せられます。また、故意又は重大な過失による未加入であれば、労災給付金の全部又は一部が費用徴収されることになります。

故意に労災保険加入の手続をとらなかった場合、労災給付金額の全額を費用徴収することになります。つまり、労災保険に加入していれば負う必要のない債務を負うこととなります。

労災保険はたしかに一時的な出費となります。しかし、労災保険に未加入で事故が発生した場合には、莫大な金額が請求されるおそれがあります。また、事業主を賠償責任から護ってくれますし、従業員としても労働保険委加入している事業所の方が安心して働けるかと思います。

また、社会保険が給与総額のおおよそ30%程と比較的高額な納付となるのに対し、

労働保険は労災保険、雇用保険を合わせても給与額面の1%程度と、納付額も比較的少額です。

上記のような追徴や罰則、そして加入していないことによる無用の労使トラブルを避けるためにも、開業と同時に加入手続きを済ませておきましょう。