創業前、もしくは創業間もない事業者が金融機関から資金を借りるには、金融機関を納得させるだけの事業計画書が必要です。

希望とする金額に対して満額融資を受けるには、事業計画書にそれだけの説得力を持たせる必要があります。逆に言えば、実績が全くない創業時でも事業計画書に説得力があれば必要資金を満額調達することも可能となります。

とはいえ、ただ青写真を描けばいいわけではなく、数値目標を入れるからには根拠が必要となります。

例えば初年度の売上目標を1000万円とする場合、その目標を達成するために必要な「客単価」「1日の来客数」「1か月の営業日数」等を記載し、1000万円という目標がきちんとした予測と計算の基に算出されていることを示さなければなりません。

そのほか、初年度はどのような経費がどのくらい発生し、最終的にはどのくらいの利益が残る見込みか、さらに翌年はどのくらい売上を伸ばす予定か、売上が伸びるとする根拠は、

等々、開業当初から軌道に乗った以降までの損益の予測をできる限り精密に数値化する必要があります。

また、政策金融公庫の創業融資のように、計画上必要な資金の1/10は自己資金で賄わなければならない等、融資の要件は最低限満たす必要があります。

なお、この自己資金の比率は実際には高ければ高いほど「事業計画のために計画的に貯金をしてきた」という評価になるため、現実的には15%~20%程あるのが理想です。

その他事業計画書を作成する際の注意点についておおまかに触れておきます。

・内容は細かく具体的に

・整合性の取れた内容を分かりやすく

・競合について書く

①内容は細かく具体的に

事業計画書には数値計画だけを重点的に書くのではなく、資金提供者に自らの経歴や人物を理解してもらえるよう、数字や計画以外の情報も十分に盛り込むことが重要です。

例えば、創業者に独立前に従業員として飲食店の店舗の運営や管理を任された経験があり、これが事業計画書に記載されていれば、金融機関はマネジメント経験のある人物ということでプラス評価となります。

②整合性の取れた内容を分かりやすく

上記の通り、創業に至るまでの経緯や創業にかける思いを込めることも重要です。

しかし、単に書きたいことを思いつく限り羅列したのでは、文章としてまとまりがなくなり、かえって金融機関に伝わりにくくなることがあります。

できるだけ簡潔に、読みやすい内容を心がけましょう。

事業を知らない人が読んでも分かりやすい内容に仕上げるため、

別添資料としてグラフや図解を使用することも有効です。その際、視覚的に凝ったものを作成するよりもシンプルなものを心掛けると良いでしょう。

また、内容に整合性が取れているかについても気を付けましょう。

③競合や市場環境について書く

競合や市場環境についての調査も非常に重要です。

飲食店の場合、立地が重要なのは周知の事実かと思います。通りが一本違うだけで客足に影響があることも多いです。

もちろん出店予定地を探す段階でもそういった下調べはしているかと思いますが、

それが金融機関にも伝わるよう、出店予定地の立地や人通りについて調べたことを記載しておきましょう。

また、人通りの多い良い立地の場合、競合他店が多数存在することも多いにあるでしょう。

その中でどのように差別化し、固定客を掴んでいくのか、その戦略を記載しておけば、客数や売上の目標値にも信憑性が増すでしょう。

事業計画書の作成は、数字に慣れない方にとっては難しく感じるかもしれません。

創業融資の金額は場合によってはそもそも事業を開始できるかどうかを左右し、また開業後の安定した資金繰りにも大きく影響するため、不安な場合は専門家のアドバイスを聞くと良いでしょう。