ビジネスローンとは、事業資金専用のローン商品のことです。申し込めるのは法人経営者および個人事業主のみで、事業を営んでいない個人は対象となりません。借りたお金は新規事業の立ち上げ資金、設備投資資金、運転資金、取引先への支払い資金など、事業に関わる資金に利用できます。

ビジネスローンを扱っているのは、銀行、信販・クレジットカード会社、消費者金融業者などで、その融資基準や金利、融資限度額はサービスの提供会社によってまちまちです。

事業者がビジネスローンを利用するメリットとしては、次のようなものが挙げられます。

〇総量規制の対象にならない

個人が返済能力を超える借入をするのを防ぐという利用者保護の観点から、日本には「貸金業者が行う貸し付けは、本人の年収の3分の1を超えてはならない」とする総量規制のルールが設けられています。このルールのために、個人が信販・クレジットカード会社や消費者金融業者から融資を受ける場合、年収の3分の1を超える借入はできません。

銀行は総量規制の適用外ではありますが、内部ルールによって同様の規制を設けていることが多く、個人向け融資はやはり、年収の3分の1が融資限度額となっていることがほとんどです。

しかし、ビジネスローンは総量規制の例外に該当するため、年収の3分の1以上の資金も調達することができます。

〇公的融資や銀行融資より融資スピードが速いことが多い

日本政策金融公庫などの公的融資や銀行融資は、金利設定は低めですが、審査に時間がかかる傾向があります。銀行によっても違うので一概にはいえませんが、2週間~1ヵ月はかかると見ておいたほうがいいでしょう。

一方、ビジネスローンの融資スピードは比較的速く、最短で即日、遅くとも1週間~10日程度で融資が受けられることが多いようです。

〇原則無担保、無保証人で申し込みができる

銀行の融資を受けるには、基本的に担保や保証が必要です。ビジネスローンは、原則として無担保・無保証人で申し込みができます。

ビジネスローンにメリットがある一方、デメリットとしては次のようなものが挙げられます。

〇公的機関や銀行融資に比べて金利が高い

事業融資の金利は、日本政策金融公庫では0.3~2%台、銀行では2%以下がほとんどです。一方、ビジネスローンの最高金利は10%前後~18.0%と、公的融資や銀行に比べて高くなっています。

〇公的機関や銀行融資に比べて借入可能額が低い

日本政策金融公庫の小規模企業向け一般貸付融資限度額は4,800万円(特定設備資金は7,200万円)、銀行の中小企業者向け融資は限度額数千万円~1億円程度に設定されていることが多いです。

一方、ビジネスローンはサービスの提供会社にもよりますが、数十万円~数百万円と、比較的少額となっています。

〇将来、銀行融資を受ける際に審査に影響する可能性がある

法人の場合、ビジネスローンで借入を行うと、決算書に借入先を記載することになります。その状態で、銀行や金融公庫から新たに借入れる場合、審査に影響することがあります。

事業者専用ローンであるビジネスローンは、急いで資金を調達したい場合や無担保・無保証人で融資を得たい場合には選択肢に上がる存在です。

ただ、金利が高い分返済負担がどうしても重くなり、特に資金繰りが厳しくなりがちな創業期に積極的に利用することはおすすめできません。

原則的には政策金融公庫や公的な制度融資を第一に検討し、これらの審査が通らなかった場合の次点や、

政策金融公庫等で希望額の融資が受けられなかった際に必要金額を補填する目的で利用することが適切かと思います。

(政策金融公庫等の審査に通らない場合、大元の事業計画を練り直した方が良い場合もあります)